2011年9月号 『港』主宰・大牧 広

 現代俳句を読む    野舘 真佐志
             
  サングラス独りごころを育てをり    岩淵喜代子
                「俳句ににん」2011年夏号〈独〉より

 サングラスの起源は明らかではないが、古代ローマの皇帝ネロも円形闘技場の観戦に、エメラルドのレンズを入れたものを使用していたという。本来、サングラスは日差しを防ぐために着用する保護眼鏡であるが、目元が隠れるため人相を隠したり、人に威圧感を与える目的に使用することが多い。揚句は、人相を隠す意味のサングラスの着用であろう。人間はサングラスにより、他人に本人であることがバレなければ、良くも悪くも心に潜在した別人格が顕在化するものである。掲句は、顕在化した別人格が独り歩きする様を詠んだものであろう。人間の心の裏をうまく捉えた作品である。

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