2014年12月9日 のアーカイブ

雪吊りの仕上がらぬまま昼休み   高田正子

2014年12月9日 火曜日

即物的な詠み方の句が多いのは山口青邨から黒田杏子につながる句風が浸透しているようだ。どの句も曖昧さや観念的な句はない。
冒頭の句は昼休みというものに焦点をあてているのだ。雪吊りの作業は朝から始まっていたのであろう。かなり技術と時間を要する作業である。松に立てかけた梯子も、途中になった荒縄もそのままにして、職人たちはひとところに寄り合って昼食をしている。

その食事の場から雪吊りが途中のままの松も見えて、季節に向かう人々の営みが淡々と詠まれていることに好感を抱いた。(剪定の一枝がとんできて弾む)(さみだれの小やみの金の雫かな)(あをぞらの届かぬところ凍りけり)など、端正な一集である。
「高田正子第三句集『青麗』 2014年 角川学芸出版」

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