2012年10月28日 のアーカイブ

香港

2012年10月28日 日曜日

11月末は香港旅行。現地を案内してくれるににんの仲間Aさんが来日したので、最後の打ち合わせの会を持った。たった3日間の旅なので、そんなに欲張っても仕方がない。基本的には現地にもう一年以上滞在したAさんにお任せするのがいいと思っている。

私は食事は取りあえず本格的な点心料理を食べていないので提案した。というのは、中国の最初の旅は食を訪ねる旅だった。20年以上前だったかもしれない。当時角川の「俳句」編集長だった秋山氏が同行して、その食の特集が雑誌にも掲載された。

当然、有名な四川料理の店、北京ダックの店、餃子館、果ては皇帝料理とか、とにかく贅沢の極みの旅をした。それで、最後に上海で点心料理の筈だったが、飛行機のトラブルで遅くなったのか、飛ばなかったのか。その夜は広東風の家庭料理で終わった。その後、中国には何度か行ったが、最初の旅行のような豪華な食事には出合わなかった。

私にとっての香港は上海をもっと都会的にしたもの、というくらいのイメージしか湧かない。それで、香港を舞台にした小説でもないかと思って探して見た。

取りあえずちょっと古いが映画「慕情」は香港が舞台。
『龍の契り』服部真澄
『マネーロンダリング』橘玲
このあたりは名著と言えるらしい。他に
『九龍に昇る日は』高野 裕美子
『秘伝香港街歩き術』藤木弘子
『亜州黄龍伝奇』狩野あざみ
香港在住のSF作家衛斯理氏の「猫」なんていうのもあるようだ。
『祈る時はいつもひとり』白川道  などなど。
 
古書店を覗いていたら沢木耕太郎の『深夜特急』の第一巻が香港・マカオだ。となりにずらりと6巻まで揃っていたので、一巻だけ抜くのは気が引けたが買い求めた。まー、しかし、沢木耕太郎の旅はヒッピーにちかい極貧の旅なのだ。

『春 川崎展宏全句集』   2012年10月29日 ふらんす堂

2012年10月28日 日曜日

 「春」は本来、第七句集目につける句集名ではなかったか誰もが思っていただろう。しかし、遺句集のために句集「冬」以降の作品をまとめ上げることが出来なかったのだ。句集『春』にあたる作品群は、『冬』以後という括り方になっている。一冊には生涯のすべての索引と年譜と解説があり、他に七人ほどの文章の栞がある。一冊というコンパクトなものになった句集はとても有り難い集大成である。

偶然私は「俳句」の9月号の『白雁』特集の〈発刊に寄せて〉という一文に川崎展宏氏について触れた文章を発表したばかりだったので、ここに転載して置くことにするが、展宏氏は苦笑していることだろう。
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 妄執

 句集『白雁』は平成二十年に上梓した『嘘のやう影のやう』に続く第五句集である。
わたしは句集を作るたびに川崎展宏氏を思い出す。氏は酒席の場で幾度も妄執ということばを口にした。何が妄執なのかと言えば句集を作るということに対してなのである。当時、句集を作ることなど念頭に無かったわたしには、そのことばは茫洋とした響きを残すのみだった。  
しかし、酔うたびに繰り返えしていた妄執ということばが、重量感を加えて心中に留まっていったのは確かだった。
振り返ってみると、展宏氏は句集『葛の葉』『義仲』『観音』を、さらに『夏』『秋』『冬』と上梓している。多分次に句集を編めば『春』だった筈だ。今思いかえすと「妄執」は氏自身に向けて叫んでいたのではないかと思う。
 そのことは、川崎展宏氏の句集を作るということについての含羞が言わせることばなのだ。
 私の第一句集『朝の椅子』では、思いっきりの優しさを盛り込んだ栞の文章を書いてくださり、その後の句集もすべてお目に掛けていたが、今度の『白雁』をお届けすることはもう出来ない。
 もう一人の師である原裕氏は、第二句集『螢袋に灯をともす』すら、お目に掛けることができなかった。(2012年9月号「俳句」より転載)
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