2012年10月15日 のアーカイブ

榎本享第四句集『おはやう』 2012年10月 角川書店 

2012年10月15日 月曜日

ががんぼに給湯室の灯が消され
半裂の顔半裂の尾に添へる
松過ぎの都電が待つてくれにけり
おはやうと言はれて言うて寒きこと
弟の嫁と寿司巻く椋鳥の空
毛糸玉ちひさくなりて転がらず
鉄亜鈴さげて炬燵を出てゆきぬ

最近、波多野爽波という俳人がしきりと気になっている。少し深入りしてみたいと思った矢先にその門下であった「なんぢゃ」主宰の榎本氏から句集が届いた。力まず、あるがままを、あるように写し取った作品が並ぶ。しかも取り合わせが新しい。鉄亜鈴と炬燵が日常的に捉えられていることに瞠目した。

松尾隆信第七句集『美雪』 2012年 本阿弥書店

2012年10月15日 月曜日

まだだれも入りてはをらず菖蒲園
妻の父逝きて10日や桐一葉
住みなれて障子に小さき穴ひとつ
セーターの深雪一歳手を振れり

一句ごとが、何気なく提示されているのだが、工夫が感じられる。それによって季語の輪郭が明確になった。

涼風に真向ひて矢を放ちけり
足音のお花畑に残りけり
あけび蔓引くや羽衣引くやうに
天と地と五歳の少女初明り

後半にいくと、虚を取りこんで奥行きを出す内容の句が増えている。『美雪』はお孫さん名前のようだ。

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