第2句集『出航』ドゥーグル・J・リンズィー  文学の森刊   2008/12月

1971年オーストラリア生で海洋に関る研究者。それだけでも、俳句の視点に期待感が生まれる。

第二句集の特徴は、吾子俳句の加わったことである。

   蔦の芽や嬰児自分の耳握る
   嬰児の言葉は蝌蚪の群るる中
   嬰児の首ぐいと立ち葱の花

また、海洋学者の生活が、おのずと俳句の世界を作る。

   秋彼岸マンボウ二つすれ違ふ
   鮟鱇の吊るされて影持ちにけり
  八方に百八ぴきの法師蝉
  道分かれまた分かれける鰯雲

以上の四句から次の四句の不思議さが生まれる。

  足二本失せたる海星春寒き
  エイの子が枕の中に試験前夜
  歯が生える泣く子に蝉の羽化を見せ
  銀漢にかかりし指紋拭きとりぬ

コメントをどうぞ

トップページ

ににんブログメニュー

アーカイブ

メタ情報

HTML convert time: 0.111 sec. Powered by WordPress ME