坂口昌弘著『句品の輝き』-同時代俳人論 文学の森刊

俳句作家ではない俳句評論家である。『俳句界』の平成十五年の第5回俳句界評論賞を受賞した人物。とりあげてあるのは、現在一線で活躍している俳人たち。俳人でない俳句評論者とは、純粋な俳句読者ということになる。

俳句を詠まない俳句読者がどういう俳句に視点を当てるのか。どういうふうに俳句を鑑賞するのかは、大いに興味がある。坂口氏の場合は森澄雄では時間を。金子兜太では思想を、詩精神を、というように、既に定評の出来た作家たちのその背景から表出する人生観を掬い上げようとしている。

要するに、定評のある作家の認識をもうひとつ深める、という作業である。こうした俳壇の外側の自由に物の言える論者は、現在の定評など気にしないで、俳句作家でない評論家がどんな俳句を面白いというのかを指し占めしてくれたら、きっと活気につながるだろう。

実際、定評の出来上がった俳人の句が、そんにいいのかと疑問に思うときもある。俳句論争がもっともっと起ってもいいのでははないだろうか 。

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