『遠嶺』11月号  主宰・小澤克己

現代俳句批評(5)      評 浜田はるみ

次郎より太郎のさびし桐の花      岩淵喜代子

 丈高い一本の「桐の花」を目印にした旧家がある。家督を継いだのは〈太郎〉。一族の要として常に縁者に囲まれ、父祖の築いた地位を守っている。そこから一歩も動けない。一方、〈次郎〉は自由ではあるが一人で人生を構築しなければならない。その厳しさ、哀歓はそれぞれの筈だが、「桐の花」と背中合せの〈さびし〉さは、時代の新しみを見据えつつも守るべき伝統を負った者の一種の疎外感か。受け取った財産が大きければ大きい程、責任も重い。『俳句四季』八月号、「螢」より

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